介護離職の理由9つから見える2つの大きな退職要因とは?
親の年齢が上がっていくにつれ、もしもの時には介護が必要になるかもしれないという心配が出てきます。
実際に介護が必要になった場合に、その状況によっては今の仕事を辞める必要が出てくるかもしれません。
この記事では実際に介護を機に離職をしたという方の離職理由を参考に「介護のために退職する必要があるかを左右する2つの大きな要因」が
- 職場が介護のために仕事をセーブすることができる環境か
- 親が子の仕事を継続できるような介護を希望するか
の2点であるということをご紹介していきます。
介護を機に離職した理由9つ
まず、実際に介護を機に離職をしたという方の離職理由について、厚生労働省の資料を確認してみましょう。
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- 仕事と「手助・介護」の両立が難しい職場だったため
- 自身の心身の健康状態が悪化したため
- 自身の希望として「手助・介護」に専念したかったため
- 施設に入所できず「手助・介護」の負担が増えたため
- 自身で「手助・介護」するとサービスなどの利用料を軽減できるため
- 「手助・介護」を気に辞めたが、理由は「手助・介護」に直接関係ない
- 家族や親族からの理解・協力が十分に得られなかった又は家族や親族が「手助・介護に専念することを希望したため」
- 在宅介護サービスを利用できず「手助・介護」の負担が増えたため
- 要介護者が「手助・介護」に専念することを希望したため
「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(平成24年度厚生労働省委託調査)より引用
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h24_itakuchousa05.pdf
「介護を機に離職した理由9つ」を見ると
・仕事先の環境
・親の希望
がキーポイントとなってきそうです。
それぞれについてより深く見ていきましょう。
介護のために退職する必要があるかを左右する2つの大きな要因
1.職場が介護のために仕事をセーブすることができる環境か
「介護を機に離職した理由9つ」
- 仕事と「手助・介護」の両立が難しい職場だったため
- 自身の心身の健康状態が悪化したため
の2つの項目は仕事先の環境によるもののようです。
職場の制度
まず、確認するべきは職場の介護に関する制度です。
介護休暇や時短勤務、テレワークが可能なのかなど会社側に介護をする場合に使用できる制度があるかを確認してみましょう。
また周囲にそのような制度を使用している人がいないか、その人がどのように働いているのかを見てみるのも重要です。
制度をうまく使えるかどうかが仕事が忙しすぎるうえに介護の負担もあって疲弊してしまう事態を防ぐ第一歩になると思います。
仕事の負担
今自分がやっている仕事は自分にしかできない、今休んだり残業をできなくなると職場が困るというケースも往々にしてあるかと思います。
ただ、迷惑をかけるからと会社自体をやめると結局あなたの仕事が誰かがやることになるわけですし、会社でしている仕事は時間はかかるにせよほかの人が代わりになれないようなことは少ないはずです。
会社としても誰かがいなくなることで崩壊してしまうような体制になっていることが問題ではあるので、難しいことではありますが日ごろから仕事の共有など積極的に代替可能な体制になるように心がけることが一つの解決策になると思います。
キャリアへの不安
会社の制度を利用してもフルタイムで働けないなどによってキャリアに不利になるという心配もあります。
時短になると管理職の仕事が難しいなど実際上キャリアを中断することになってしまうとは思います。
運よく復帰後に昇進していけるケースもあるかと思いますが、年齢によってはそうではないケースも十分にありうると考えられます。
キャリアを優先してほかの家族に負担を強いるという選択肢もなくはないかもしれないですが、
- 家族や親族からの理解・協力が十分に得られなかった又は家族や親族が「手助・介護に専念することを希望したため」
というのが離職理由になっていることを考えるとそれも難しい面が多々あることが予想されます。
負担を強いた結果、会社人生がうまくいったものの家族として幸せに生きていけないリスクを抱える可能性もあることは頭に入れておく必要があります。
もし金銭的に昇進を計算に入れているのであれば今のうちからこのようなケースが起こりうることもマネープランの一つとして考えておくことも重要です。
2.親が子の仕事を継続できるような介護を希望するか
- 施設に入所できず「手助・介護」の負担が増えたため
- 在宅介護サービスを利用できず「手助・介護」の負担が増えたため
- 要介護者が「手助・介護」に専念することを希望したため
「介護を機に離職した理由9つ」のこれらの項目は、制度的に使えなかったというケースもありますが、親がどのような介護を希望するのかという点が大いにかかわっている項目です。
介護サービスの種類
介護サービスはさまざまな種類がありますが、大まかには下記3タイプに分類されます。
- 訪問介護などの家に来てもらって介護を受けるタイプ
- デイサービスなど外に一時的に出かけて介護を受けるタイプ
- 老人ホームなど移住して介護を受けるタイプ
これらどこまでを親が許容できるのかによって離職の必要性が変わってくるかと思います。
親の希望と状態
もし親が他人に入浴介助をお願いしたくなかったり、家に入ってほしくないなどの希望がある場合は
- 在宅介護サービスを利用できず「手助・介護」の負担が増えたため
という理由で離職が必要になる可能性があります。
また日中見守りがないと危険や心配な状態で、デイサービスなどの利用をしたくないという場合にもやはり見守りのため働きに出ることは難しいでしょう。
また、デイサービスや訪問介護の間の時間ですら目を離せない状態で、老人ホームなどの生活はしたくないという場合は
- 施設に入所できず「手助・介護」の負担が増えたため
という理由で離職することになるかと思います。
親の希望と子の生活との折り合い
親がどのような介護を希望するか、子がどこまで金銭的にも生活的にも許容できるかが重要になってきます。
健康なうちに親とどのような状態になったらどうしたいかなどの話ができればベストではありますが、デリケートな話題なので難しいかと思います。
まず自分がどうしたいかをマネープランと合わせて時間のあるうちにしっかりと考えることが重要だと思います。
まとめ
介護を機に離職するか否かについて、介護を機に離職をした理由からなぜ離職の必要性を左右する職場の状況と親の意思という2つの要因があることを確認してきました。
介護をするときになってから調べたり考えたりするのではなく、今から考えられることは考えていきましょう。