介護離職が必要になる介護内容はどれか?介護内容10項目から洗い出す
介護離職をすると金銭的にも精神的にも厳しくなるので、介護離職をするべきでないと下記の本で主張されていました。
介護離職をしない方向で考えた時に、実際に仕事を続けるとどのようなことに困るのかというのが気になりました。
この記事では介護内容を確認し、それぞれの項目について仕事をしながらどのように対応できるのかについて考えていきます。
結論は
・緊急時の対応が頻繁に発生する場合
・介護を受ける本人の症状が常にだれかが必要な状況の場合
は離職の検討が必要になるかもしれないですが、そのほかの項目については対応方法がありそうと思われます。
介護内容10項目と本人が行っている割合
介護で行われている内容と、介護者本人(家族や介護業者の方ではなく)が行っている割合を厚生労働省のデータから確認してみます。
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- 排せつや入浴等の身体介護:11.3%
- 定期歴な声かけ(見守り):42.6%
- 食事の支度や掃除洗濯などの家事:28.9%
- ちょっとした買い物やゴミ出し:47.3%
- 入退院の手続き:61.5%
- 通院の送迎や外出の手助け:51.2%
- 救急搬送や緊急入院などの急変時の対応:51.0%
- 金銭の管理:47.1%
- 手助介護の役割分担やサービス利用等に係る調整・手続き:52.0%
- 関係機関(警察・施設等)からの呼び出し対応:50.0%
「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(平成24年度厚生労働省委託調査)より引用
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h24_itakuchousa05.pdf
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これらの各項目について、実際に離職を考えなければいけない負担になる項目がどれなのかを考えていきたいと思います。
介護離職を工夫で防げる8項目
排せつや入浴等の身体介護(11.3%)は介護サービスで対応できる内容
身体介護については、訪問介護をお願いしたり、デイサービスなどでお願いするなどで必ずしも介護者本人で行う必要がない項目であると考えられます。むしろ一人で入浴介助をするのは危険な面もあります。
もし介護を受ける本人が抵抗なく訪問介護やデイサービスを受けられるのであれば、介護のプロにお任せすることでこの作業のために離職をする必要がないと思われます。
実際介護者本人が行っている割合も11.3%と低い値になっています。
一方で夜間の身体介護については外注することができませんので、介護者本人で対応する必要があります。トイレの介助などで深夜に対応をするなど体力的に負担が発生する可能性もあるので、その点は考慮が必要です。
定期歴な声かけ(見守り)(42.6%)は民間サービスも充実
訪問介護やデイサービスの利用中は見ていただいている状態なので、その時間は問題ありません。また夜は同居している場合は介護者が確認できるかと思います。
問題になるのは別居の場合の夜やサービスを利用していない間の時間帯です。もしそのような時間帯に人がいないと危険な状態であれば、離職して何かあった際にすぐに対応できるようにする必要が出てくるかもしれません。
人がいなくてもある程度状況がわかっていればよいのであれば民間のITを利用した見守りサービスの利用などで対応できると思われます。
実際のところは日ごろ体調がどうかなど話したりすることを考えると、介護者本人の半分近くの42.6%が行っている内容というのは当然かもしれません。
食事の支度や掃除洗濯などの家事(28.9%)は民間サービスや便利家電の活用が可能
食事
食事は宅食サービスを利用したり、あるいは介護者本人が作り置きしておくことも可能かと思います。
また、訪問介護やデイサービスを利用している場合はその枠内で必要があれば対応していただくことができますし、自身で食事ができないような場合もその枠内でお願いすることが可能です。
掃除洗濯
掃除や洗濯は介護者本人が休みにまとめて行うこともできますし、遠距離の場合は訪問介護の家事支援や外注することも可能かと思います。
介護を受ける本人の状態によってはドラム式洗濯機などで選択する、お掃除ロボットを使用するなども可能かもしれません。
ちょっとした買い物やゴミ出し(47.3%)は日ごろの声掛けの流れで行える
買い物やゴミ出しも介護者本人が必要であれば対応することが可能かと思います。遠距離の場合は訪問介護の家事支援やネットスーパーを代わりに利用してあげるなどで工夫が可能かと思われます。
声掛けのついでにちょっとした家事をするというのはよくある光景な気がします。
入退院の手続き(61.5%)
入退院の手続きはあらかじめ決まっている場合は、仕事を調整して対応することになります。
実際61.5%の方が対応をしていることからも、介護者本人が対応するのが基本の項目と思われます。
通院の送迎や外出の手助け(51.2%)はサービスの利用で対応可能
通院は日中なので仕事をしていると困難ではありますが、こちらも訪問介護などを利用できれば離職をせずに済む内容かと思います。
仕事で時間の自由が利く場合は介護者本人で対応することも可能です。
金銭の管理(41.7%)はマネーフォワードなどのツールが便利に使える
金銭の管理が必要な場合は、マネーフォワードなど口座管理ツールなどを活用することで介護者本人で管理が可能ではないかと思います。
少なくともこのために離職するということはないように思われます。
手助介護の役割分担やサービス利用等に係る調整・手続き(52.0%)
介護者本人が行うべき内容で、むしろ仕事を継続するために必須の項目です。
介護離職の原因になる可能性がある3項目
定期歴な声かけ(見守り)(42.6%)は介護を受ける本人の状況次第では随時見守りが必要
工夫で対応できる事項としてあげましたが、夜を含む介護サービスを利用していない間の時間帯です。もしそのような時間帯に人がいないと危険な状態で、老人ホームへの入所が不可能な場合(本人の意思やホームのが満室などの状況など)は離職を検討する必要が出てくるかもしれません。
救急搬送や緊急入院などの急変時の対応(51.0%)は仕事が中断
何か不慮の事態があった場合には仕事を中断してすぐに駆け付ける必要があります。家族が共働きなど本人が駆けつけることが必須な場合、その頻度によっては仕事の継続が難しくなる可能性があるので、状況に応じた判断が必要になる可能性があります。
関係機関(警察・施設等)からの呼び出し対応(50.0%)は仕事が中断
急変時の対応同様こちらも仕事を中断してすぐに駆け付ける必要がある場合があります。こちらも家族が共働きなどで本人が駆けつけることが必須な場合は発生内容や頻度によっては離職の検討の必要が出てくるかもしれません。
まとめ
介護内容10項目の内容と介護者本人が対応している割合について見てきました。
制度で何とか対応できる内容がある一方で、症状の進行具合や緊急対応など仕事を続けるのが難しくなる事項もあることがわかりました。
職場への情報共有する中でどのようなことが起こりうるかをあらかじめ職場内で共有できると円滑に対応が可能になるかもしれませんね。