【子供をいつ産むのか?】共働き夫婦の海外赴任と家族計画
30歳代共働き夫婦でどちらかが海外赴任の可能性があるという場合、子供をいつ産むのか?という問題が出てきます。
今回はそのような共働き夫婦の海外赴任の場合、家族計画をどのように考えるべきかを考えてみたいと思います。
今回のロールモデルとして、夫婦ともに32歳で子どもなし、夫が5年の海外赴任の打診を受けたと想定します。
妊娠適齢期は35歳くらいまで
こちらのサイトでは32歳ごろまでと書かれていました。
足立 「妊娠適齢期」とは、いつごろを指すのでしょうか。
齊藤 様々なデータがありますが、広く見れば20歳から32歳ごろといえます。自然妊娠率の統計(※)によると、19歳から26歳では月経周期から算出したタイミング法で5割近くの人が妊娠します。それが27歳から34歳は約4割、35歳から39歳は約3割とだんだん下がっていきます。妊娠しやすさと、母子それぞれのリスクが特に少ない時期を考慮すると、20代半ばですね。
一般的に35歳までと書いているサイトなどもありますが、内閣府の「妊娠適齢期を意識したライフプランニング」を見ると年齢が上がるほど、様々なリスクが高まり、出産の確立が下がってくるデータが記載されています。
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/taikou/k_3/pdf/s2-1.pdf
これらを踏まえると、やはり30歳以降子どもを計画している場合は早いに越したことはないようです。
取りうる選択肢は?
今回のロールモデルとして
・夫婦ともに32歳で子どもなし
・夫が5年の海外赴任の打診を受けた
・妻の会社には海外赴任同行のための休職制度はない
・両親は共に遠方などで頼ることができない
・双方仕事はやめたくない
という条件で考えてみます。
この場合にとりうる選択肢は3つです。
・断り、子供が大きくなるまでは赴任を受けない
・承諾し、帰国後に子供を計画する
・承諾し、妻の育休をうまく活用しワンオペ育児期間を可能な限り短くする
1.海外赴任を断り、子供が大きくなるまでは赴任を受けない
37歳で出産するケースはもちろん数多くあるかと思いますが、内閣府のデータ*1を見ると、帰ってきてから出産できる確率は有意に低くなるというのが現状であり、また、母体への負担も高くなることを考えると、断るというのが家族としてはベストの選択になるかと思います。
この選択の課題点を考えていきたいと思います。
拒否できない可能性があるので、転職まで覚悟しておく
今回のケースでは打診という形で事例の前に相談を受けている場合を想定していますが、打診と言いながらも断れないケースや辞令が出て赴任せざるを得ないというケースもあり得ます。
この場合、会社を退職する必要があるかもしれません。
対策としては、転職に備えておくことかと思います。その時になって慌てて転職に動くのではなく、実際にそのようになるかはわからないですが、断る場合は転職する覚悟はもっておくべきです。
会社でのキャリアが遅れる可能性を納得してから決断する
もし断ることができた場合でも、多くの場合海外赴任は栄転であり、それを断るということはキャリアに遅れが出ることになります。ひいては今後の収入にもかかわってきます。
なので、断る場合には
1.キャリアに遅れが出る可能性があることを認識する
会社でのキャリア自分の中でどの程度重要なのかを改めて見直し、10年後、20年後にこの選択を後悔しないように考え抜く必要があります。
2.収入が赴任した場合に比べて減少数る可能性があることを認識する
共働きで得られる世帯収入は、一人で働いて偉くなった場合よりも高い場合が多いと思いますが、それはもちろん今後共働きを続けていった場合であり、共働きをしなくなった場合はこの決断により世帯収入が減少する可能性があります。
子育てが初めてなので、今後共働きを維持できるかは現時点では不明ですが、そのような可能性もありうることを頭に入れて考えておく必要があります。
2.海外赴任を承諾し、帰国後に子供を計画する
承諾し、単身赴任を5年間したのち子供を計画するというのが2つ目の選択肢です。この場合、37歳からの妊活になるので、妊娠率が低いことが考えられるので下記2つについて事前に検討しておくことが必要と考えます。
1.早々に不妊治療の開始を検討する
自然妊娠を目指して、時間を使ってしまうとますます妊娠する確率が低くなってしまうので、早々に不妊治療クリニックへの相談を開始できるように事前に調べておくことが必要です。
2.卵子凍結
比較的新しい技術として卵子を凍結し、適切なタイミングで体外受精して妊娠・出産するというものがあるようです。
帰国後にこれで妊娠ができるかは未知数ではありますが、一つの選択肢としてありうるのかもしれません。
3.海外赴任を承諾し、妻の育休をうまく活用しワンオペ育児期間を可能な限り短くする
最後にどうしても赴任期間に子供が欲しいという場合を考えてみます。
出産後、原則1歳までは育休の取得が可能です。この一年を同居できる期間と考えると下記2パターンが考えられます。
1.帰国2年前に妊活→帰国1年前に出産→1年間育休期間に同居
赴任中に妊娠し、生まれてからはずっと一緒に暮らせるというパターンです。
3年目以降に妊娠することになるので、35歳での妊娠にはなりますが、海外に夫がいるので、妊活をする機会がほとんどありません。
一時帰国の時に妊娠するためには、クリニックに相談するなどが必要になってくるかもしれません。
また妊娠中奥さんが一人で大変だったり、奥さんに負担を大きくかけてしまう点など十分に双方に納得して進めるべきです。
2.赴任時に妊活→帰国4年前に出産→1年間育休期間に同居→3年間ワンオペ育児
こちらは赴任が決まってから、日本を離れる前の妊娠を狙う案です。こちらの方が一時帰国よりは妊娠できる確率は高いかもしれませんし、出産の年齢も若いですが、先ほどと同様妊娠中奥さんが一人になり、また育休終了後はワンオペ育児になり負担が重くなります。
旦那さんが海外生活に慣れていれば旦那さん側でのワンオペ育児という選択肢もありますが、いずれにしてもシッターさんなどを手配し、やりくりしていく必要があるので、十分に話し合って考える必要があります。
まとめ
これまで見てきたように、キャリアも家族もすべて取るのは非常に難しいと思います。
・まず、自身の家族やキャリアへの思いを考える
・赴任を希望しない場合は会社に事前にそれとなく意思表示をしておく
・赴任を希望する場合は、夫婦でどうするつもりなのかよく話しておく
ということが大事だと思います。
打診されてからでは時間が少なく、なかなかすぐに決断できない話でもあるので、日ごろから想定をしておけるとよいですね。
【将来の技術が海外赴任をなくす?】未来のテレワーク・長距離移動技術から海外勤務を考える
海外赴任は企業にとってはコストがかかり、また従業員にとってもライフプランに大きな影響を与えるものです。
ライフワークバランスが叫ばれている中で、このような働き方がどのように変遷していくのか、未来の技術から考察してみたいと思います。
結論は、
・テレワーク・長距離移動技術の発達により、日本から行える業務範囲が広がる
・その結果海外赴任しないという選択も可能になる
・業務内容によっては従来通り海外赴任が必要など、海外赴任しない働き方のメリット/デメリットを考えた動きが今後出てくるのではないか?
という内容です。
テレワークの進歩
現在Zoomなどで会議を行い、テレワーク勤務を行っていますが、テレワークが将来どのようになっていくのかをまず見ていきたいと思います。
Facebookのメタバース
Facebookはすでにアバターを通じた会議を提案しています。*1
オキュラスはまだ一般的に普及しきっている状況とは言えませんし、アバターで共に働く文化も一般的ではありませんが、海外赴任の負担の軽減という視点で将来的には取りうる選択肢の一つになるかもしれません。
Microsoftのメッシュ
Microsoftはその一歩先のホログラムによる会議の実現を可能にする技術を開発しています。*2
ホログラムで立体的に相手の様子や議論したい対象を移すことでより臨場感を持った会議をすることが可能になります。
現在はオキュラスよりも普及していないHololensを使用するということですが、将来的にはFacebookのメタバース同様海外とのコミュニーケーションツールとして使用できるようになるかもしれません。
テレワークロボット
メタバースやメッシュは同時に相手にも何かを対応してもらわないといけないという点で、会議の代替にはなりますが職場で一緒に働くことの代替には少し不足しているように思われます。
それに対応する技術としては、テレワークロボットがあります。*3
最もシンプルな自走可能なタブレットという形をとれば相手も見れますし、こちらの顔も見れます。話しかけることも可能になります。
現在でもすでにそのようなものが存在してはいますが、将来的には軽い作業などができるようなロボットが登場するかもしれません。
移動技術の進歩
テレワークの技術進歩によって日本から勤務することが技術上は可能になる可能性があります。ただ、作業を行ったりお客さんにデモをしたりなど現地でないとできないこともあると思います。
そのたびに飛行機で片道10時間かけて飛んでいくのは非効率です。
しかしながらその課題を解決する技術も出てくるかもしれません。
スペースXの宇宙船による国際線
イーロンマスクのスペースXが宇宙船を使用することで地球上どこでも1時間以内で行くことができる技術の開発を行っているという話があります。*4
例えば東京-ロサンゼルスが飛行機では12時間かかるところ、32分で到着できるという実現すれば日帰りが可能になる驚きの構想です。
現状はコスト的な課題があるようですが、再利用可能な宇宙船の開発などで実現時期は不明ですが、将来的にはエコノミークラス程度の金額を目標にしているということなので、そうなれば月に2回出張などとといった選択肢も出てくるかもしれません。
海外赴任しない働き方のメリット・デメリット
ここまで海外赴任しない働き方が10年スパンの将来では可能になってくるということを技術的に確認してきました。
実際にそのような技術を使って働いた際のメリット・デメリットについて少し考えてみたいと思います。
デメリット
・時差の問題がある
日本から働くとしても現地の人と同じ時間に働く必要があります。その場合は日本時間の深夜に働くようなことになるため、その点は課題点としてあり得ます。
ただ、2人で担当して交代で勤務するなど、実際に実現したときには何らか労務上の決まりができるのではないかとは思います。
・リモートでは行えない作業がある
精密な作業など、業務によっては現地にいることが必須のケースもあります。そのような場合は赴任をしないという働き方は非効率なため海外赴任が必要と考えられます。
また現地の文化などを理解し生活をしているからこそ、対応できることなど赴任をすること自体が仕事上重要なケースもあり得ます。そのような場合も赴任しないという選択はしづらいと思います。
メリット
・自身のライフプランを維持できる
共働きをしていて、さらに子どもがいる場合に海外赴任があると、パートナーが仕事を辞めるか、ワンオペ育児するかの選択になります。海外赴任を断れない場合は、転職するしかなくなるケースもあり、赴任しなくてもよいという選択肢ができることは非常に大きなメリットと感じます。
会社にとってもそのような理由で離職されることはデメリットのため、本人・会社双方にとってメリットがあると思います。
・会社にとってはコスト削減につながる
海外赴任は一般的には勤務手当や住居費など日本で勤務する人に対してよりもより多くのコストが会社にかかります。
会社にとってはこれまで見てきたような技術を導入するコストや出張費よりも赴任にかかる費用のほうが高いと考えられるので、会社にとってメリットがあると考えられます。
まとめ
今回は未来の技術によって海外駐在がなくなるのではないかということを見てきました。
まず、
・テレワーク技術の発達
・高速長距離移動技術の発達
により、実務上は駐在が必ずしも必要ではないケースがありうることを確認しました。
また、実際に駐在をなくした場合のメリット・デメリットについても軽く確認しました。
これらを総合すると、将来的には一部可能な範囲で海外駐在という働き方を縮小していくという動きが出てくるのではないかと予想します。
希望する人はこれまで通り赴任する、希望しない人は日本から働くといった形で選択ができる世の中になっていくとよいですね。
【技術の進歩に合わせた住み替えが吉?】持ち家か賃貸かを未来の技術から考える
技術の進歩が目覚ましいということを「2030年 すべてが「加速」する世界に備えよ」という本で学びました。
今回は将来の技術の進歩に応じて、「住居」どのようにしていくのがいいのか考えてみたいと思います。
結論としては、
・技術の進歩で住むべき場所が変わっていくことが予想される
・技術の進歩を観察し、それに応じて住む場所を変えていくこと
・そのようなことができるように持ち家ではなく、賃貸で生活をしていくのが良い
と私は考えました。
通勤時間はどうなるか
家を探す際に、会社からの距離、通勤時間は重要な要素の一つかと思います。将来の技術によって、会社から遠くても通勤が可能になるかもしれないということを見ていきたいと思います。
空飛ぶ車の登場
最高時速300kmの空飛ぶドローンの登場
現在大型ドローンを空飛ぶ車として開発する企業が複数現れてきています。
その一つ、JOBYが開発している大型ドローンは最高速度が200マイル(300km)/h*1で、将来車の所有コストよりも安くなることを見込んでいる*2といわれています。
2024の正式運用開始を狙っているということからも10年もすれば、私たちの生活にも入ってきているかもしれません。
空飛ぶ車時代の通勤圏は?
これが実際に実用化されると移動が非常に早くなり、もし平均時速200kmで移動できるとすると30分で100km移動できることになります。
現在検討されているのは5人程度の乗り合いタクシーの方式ということです。
例えば、東京駅から直線距離100kmというと、静岡県の沼津市あたりになります。
現在は東京駅から30分というと横浜駅になりますが、将来空飛ぶドローンが一般化すると、沼津が普通の通勤圏内になってくるイメージになります。
現在新幹線を使っても沼津-東京間は1時間程度かかっています。本数に制約があり、また費用も高いので一般的とは言えない状況かと思います。
しかし将来コスト的に現実的で、オンデマンドで乗ることができる空飛ぶタクシーが一般的になってくると、職場から100km圏に住むという選択が一般的になってくるかもしれません。
自動運転の登場
自動運転の現在と将来
2021年にホンダから渋滞時のみ自動運転可能なホンダレジェンドの新型が発表されています。*3
現在は条件付きかつ、居眠りができないレベル3のものが市場に出てきたという段階です。
しかしながら、テスラのイーロン・マスクが2020年に
「当社はレベル5自動運転の基本的な仕組みを、今年中に完成させる自信がある」*4
と話しているように、将来的には居眠り可能な完全な自動運転(レベル5)が可能になる未来も見えてきています。
完全自動運転が実現すると通勤はどうなるか?
完全自動運転が実現すると、車の中で睡眠をとることができるようになります。
そうなってくると、電車では2時間の通勤はつらいかもしれませんが、車であれば家にいるのと同じことができるので、2時間の通勤も苦にならないかもしれません。
もしかすると、車にベッドと洗面所が置かれ、寝室は車の中で、車で目覚めて、身支度をして待っていると会社につくという未来がありうるのかもしれません。
平均時速50kmで移動できるとすると例えば2時間の通勤で100km移動できることになります。
空飛ぶ車を使わなくても沼津に住んで、東京駅まで通勤ができるようになる未来が待っているのかもしれません
買い物はどうなるか
会社から遠いところでも仕事はできるということがわかりましたが、生活をする上では近くに商業施設があったり、スーパーやドラッグストアがあることも重要です。
それらが将来どのようになっていくかについても考えていきたいと思います。
VRショッピング
VRで買い物することはすでに現実化しつつあるようです。三越伊勢丹ではすでにVRアプリをリリースしているという話*5などがあります。
また、マイクロソフトのVRシステムを指して、「2030年 すべてが「加速」する世界に備えよ」の本ではこのように書かれています。
このVRゴーグルを装着すると、世界中で買い物ができる。たとえばロンドンのハイストリートにあるプラダの店で買い物をしようと思えば、いつでもできる
このような将来がくる場合、現在ネット通販ではできていないような、ショッピングモールでの買い物のような楽しみながら家でショッピングをする日が来るかもしれません。
空飛ぶ車
また、通勤同様ショッピングモール現地に行きたい場合は空飛ぶ車ですぐに行きたい場所にいける世の中になっているかもしれません。
そうなると商業施設が近くになければばならないということはなくなりますね。
無人配送
Amazonが取り組んでいるPrime Airはドローンによる無人配送を目指しているといわれています。*6
現在、ネットスーパーなど日用品の配達は有人で行われるため、都市部でのサービスがメインですが、将来的に技術が発達すると、都市部に限らず迅速な商品の配送が可能になることが期待できます。
そうなると住んでいる地域の近くにスーパーやドラッグストアがないと不便ということはなくなるかもしれません。
このような未来に住むべき場所は?
・職場の近くに住む必要がない
・商業施設に近くなくても買い物ができる
ということが10年スパンの未来として予想されます。
もしそのような場合にどこにどのように住むのがよいでしょうか?
場所は?
場所は必ずしも利便性の高い都心に住む必要はなくなるように思えます。そう考えると自然が豊かな住み心地の良い地域に住むという選択肢が出てきます。
現時点ではもちろん都市部のほうが便利ですが、このような技術の発達を観察し、それに応じて住む場所を変えていくということは考えておくべきであるように思います。
持ち家か賃貸か?
このような技術が発達すると、都市部の地価が下がり、別荘地のようなエリアの地価が上がるということが起きるのかもしれません。
不動産の価格がどうなるのかは予測はできませんが、持ち家を買った場合にその価値が変動する可能性があるということは頭に入れておいた方がよさそうです。
予測は難しいので、賃貸で生活するほうが、得することはなくても損する可能性は低くなりそうです。
まとめ
現在開発が進められている技術から家をどのようにすればよいかについて考えてきました。
・空飛ぶ車や自動運転、VRや無人配送の技術の開発が進められている
・これらが発達してくると職場や商業施設などに近くなくても利便性が維持できる
・技術の進歩に応じて郊外などに引っ越していくのがよさそうである
・そのような住み方をするために、賃貸のほうがリスクが少なそうである
という風に私は考えました。
今後の技術の進歩が楽しみですね。
【書評】「心理的安全性のつくりかた」から心理的安全性の作り方を考察する
「心理的安全性のつくりかた」という本からどのようにすれば心理的安全性のあるチームになるのかについて考察していきたいと思います。
前提知識:そもそも心理的安全性とは?
心理的安全性とはGoogleの「効果的なチームとは何か」という研究で最も重要であると位置づけられた概念です。
心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対してリスクを取ることに不安を感じていません。自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地があります。
この心理的安全性があるチームはさまざまな良い効果があると報告されています。
心理的安全性の高いチームのメンバーは、Google からの離職率が低く、他のチームメンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用することができ、収益性が高く、「効果的に働く」とマネージャーから評価される機会が 2 倍多い、という特徴がありました。
Google re:Work - ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る
「心理的安全性のつくりかた」の要旨
ここから、「心理的安全性のつくりかた」の内容について私なりに理解した内容をまとめていきます。
日本における心理的安全性の4因子
本書では、日本における心理的安全性を確保する上で重要な因子として
・話しやすさ
・助け合い
・挑戦
・新奇歓迎
を提唱し、これらが活発に行える環境になることが心理的安全性に貢献すると主張しています。
さらに4因子を促進する方法について、3つのレベルからのアプローチ方法について論じていっています。
心理的安全性への3つのレベルからのアプローチ
心理的安全性へは
・構造・環境
・関係性・カルチャー
・行動・スキル
の3レベルからアプローチすることができると主張しています。
このうち「構造・環境」は会社や経営レベルの話になるので、一社員レベルでは変革が難しいとし、本書ではチームレベルの「関係性・カルチャー」へのアプローチに主眼を置いて、心理的安全性へのアプローチの仕方を紹介しています。
またチームレベルの「関係性・カルチャー」へのアプローチにはメンバー個々人のレベルの「行動・スキル」への働きかけが必要になってくることも併せて主張しています。
「関係性・カルチャー」の改善には心理的柔軟なリーダーシップが必要
チームの心理的安全性にかかわる「関係性・カルチャー」の改善には心理的柔軟なリーダーシップが必要と主張しています。
心理的柔軟なリーダシップとは
組織・チームの背負った歴史や文脈に応じて、あるいはアプローチする個々人の性質 に応じて、しなやかにチームの中の行動を活性化する
ということと紹介し、これを実現するためには
・必要な困難に直面し、変えられないものを受け入れる
・大切なことへ向かい、変えられるものに取り組む
・変えられないものと変えられるものをマインドフルに見分ける
が重要だと主張しています。
「行動・スキル」に対しては行動分析的なアプローチが有効
個人のレベルの「行動・スキル」で心理的安全性に改善していくには行動分析的なアプローチが有効になると紹介しています。
行動をフィードバックする好子・嫌子という考え方
行動分析的な事項として好子・嫌子という考え方を紹介しています。
・行動をポジティブフィードバックによって促進する好子
(例:暑いときにエアコンの温度の下げるボタンを押すと下がるから、次回以降も暑い→温度下げるボタンを押すという行動を促進する)
・行動をネガティブフィードバックによって減退させる嫌子
(例:暑いときにエアコンの温度を上げるボタンを押すと上がるから、次回以降は暑い→温度を上げるボタンを押さなくなる)
このうち嫌子による行動の抑制は実はあまり有効ではないということを紹介し、心理的安全性を高めるような行動を促進していくうえでは、その行動をしたくなるような好子になるような対応が重要になると主張しています。
心理的安全性を高める4因子を促進する「行動・スキル」からのアプローチ
好子によるアプローチが必要であることを紹介したうえで
・話しやすさ
・助け合い
・挑戦
・新奇歓迎
の4因子を促進する具体的な方法を紹介しています。
※好子によるアプローチの促進をするためにはそもそもきっかけがないことにはフィードバックループも発生しないので、きっかけについても本書ではアドバイスされています。
【話しやすさ】
きっかけ:「何でも言ってくれ」ではなく具体的な問いかけを行うことで話しかけるきっかけになりやすくなる
好子:「報告してくれてありがとう」など話しかけたことがプラスになるような返しをすることが重要
【助け合い】
きっかけ:「困っていることある?」など受動的に助けを待つのではなく能動的に問いかけるとよい
好子:助けを求められた際になぜそのようになっているのか?と思ったときに「なぜ?」と返すと責められているような印象になる場合があるので、「どこが?」「なにが?」という問いかけで攻めているような印象をやわらげる工夫が重要
【挑戦】
きっかけ:シンプルに挑戦を歓迎するなどのアプローチが有効
好子:結果を共に振り返り、学ぶ姿勢で対応するのが有効、挑戦を提案した人が独力で対応しないといけない状況など嫌子になるような状況は避ける
【新奇歓迎】
きっかけ:個性の発揮を促すなどが有効
好子:工夫を評価しないなど嫌子になる行動は避ける
行動が増えても品質が伴わない場合は、プロンプトを活用する
報告が増えてもその内容が足りないような場合、心理的安全性を確保できて行動が増えてもその結果が有効に表れてこないことがあり得ます。
そのような場合には「プロンプト」と言って一緒にやってみたり、やり方を一緒に確認したり、あるいはその行動をするようにリマインドするなど相手のレベル感に応じてその行動が独力でできるようになるようにサポートすることが有効であると紹介されています。
以上のようにして個人の「行動・スキル」を心理的安全性確保のために向上させていくことが提案されていました。
カルチャーと行動両方に影響する言語
「関係性・カルチャー」、「行動・スキル」両方に作用するものとして、言語の重要性を紹介しています。
具体的には、「関係性・カルチャー」で出てきたの目標達成に向けての「大切なこと」をスローガン的に言語化することで、その言語化したルールが好子になっていれば、良い行動を促進していけるという内容です。
そのようなスローガンの作り方としてはチームごとで異なり、
・機能別チームは「個々人の大切なこと」の言語化
・プロジェクトチームは「大義」
を意識するとよいとの主張でした。
要するにどのようなことをすればいいのか?
ここまで「心理的安全性のつくりかた」の要旨について私なりに解釈をしてきました。
これらを振り返ると、
・話しやすく、助け合いが活発で、挑戦を容認するようなチームが心理的安全性が高い
・チームのメンバー個人が意識すべき点は、双方で話しやすく、助け合い、挑戦を促進するような反応を行うように意識することが重要
・チームのマネージャーはできることとできないことを見分け、できないことを無理強いせず、実現可能な、目標の達成に重要なことをスローガン化し、それを目指すようにすべき
ということが書かれていたと思います。
3点目の無理なことを無理強いするという例として下記の記事の内容を見つけました。
「うちの企業は毎年200人ほど新人を採用するが、1年経って残るのは半分以下。なぜなら、上司が新人たちに無茶な要求ばかりするから。たとえば営業なら、『1日で名刺を100枚もらってこい』と言われて、毎晩その日に名刺を何枚もらったかをチェックされる」(25歳/広告)
聞き取り調査で続々判明!「チャレンジ強要職場」の悲惨な実態 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン
この話がどこまで本当かはさておき、
・実現不可能なことを無理強い
・チームの目標の達成に重要でないこと
をしており、まさに心理的安全性の確保に逆行する行いと思われます。
確かにこのような場合は、実現できなかったことをどう怒られずに報告するかや、どうごまかすかに苦心することになり、営業成績を上げることではなく、どううまくやり過ごすかに労力が割かれてしまい、チームとして成果を上げられないということが起きることが予想できます。
この例で本書の心理的柔軟なリーダーシップを発揮するとすると
・必要な困難に直面し、変えられないものを受け入れる
→新規開拓のために名刺を100枚集める目標をとっても、100枚も名刺が集まることはなく、有効な名刺はそれほど集まらないという事実を受け入れる
・大切なことへ向かい、変えられるものに取り組む
→大切なことは新規顧客の開拓であり、名刺を集めることではない
・変えられないものと変えられるものをマインドフルに見分ける
→この方法で有効な名刺を集めることはできないが、新入社員に新規開拓の方法を教えたり、勉強をうながしていくことはできる。
といった風になるでしょうか。
手段が目的化することもビジネスではよく見られる光景のようにも思いますので、大切なことが何か、本当にやりたかったことが何かを意識していくことが重要なのかもしれませんね。
まとめ
この記事では「心理的安全性のつくりかた」という本を私なりに解釈し、心理的安全性について考えてきました。
本自体はさまざまなテクニックも含めて書かれており、勉強になるので、一読することをお勧めします。
心理的安全性がないチームを率いるリスクは?「顧客が本当に必要だったもの」から考察する。
近頃よく聞くようになった「心理的安全性」。
職場で働いていくうえで心理的安全性が守られていないとどのようなリスクがあるのかについて考えていきたいと思います。
結論としては
・プロジェクトが失敗する
・離職率が上がる
という少なくとも2つのリスクがあるということがわかりました。
心理的安全性とは
心理的安全性とはGoogleの「効果的なチームとは何か」という研究で最も重要であると位置づけられた概念です。
心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対してリスクを取ることに不安を感じていません。自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地があります。
この心理的安全性があるチームはさまざまな良い効果があると報告されています。
心理的安全性の高いチームのメンバーは、Google からの離職率が低く、他のチームメンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用することができ、収益性が高く、「効果的に働く」とマネージャーから評価される機会が 2 倍多い、という特徴がありました。
この話を聞くと心理的安全性があるチームは良いチームだという風に感じます。
心理的安全性がないチームのリーダーに降りかかるリスク
なんとなく「心理的安全性」があることはいいことのように思えますが、何ともどういう効果があるのかつかみづらい印象もあります。
ここからは逆に心理的安全性のないチームを率いることにどのようのリスクがあるのかについて考えていきたいと思います。
前提:メンバーは「無知」「無能」「邪魔」「否定的」だと思われない振る舞いを行う
心理的安全性の作り方(石井遼介著)によると心理的安全性のない職場ではチームのメンバーは下記のように振舞うと指摘されています。
・「無知」だと思われたくない→必要なことでも質問せず、相談をしない
・「無能」だと思われたくない→ミスを隠したり、自分の考えを言わない
・「邪魔」だと思われたくない→必要でも助けを求めず、不十分な仕事でも妥協する
・「否定的」だと思われたくない→是々非々で議論せず、率直に意見を言わない
心理的安全性の作り方(石井遼介著)より引用
1.リスク1 プロジェクトが失敗する
システム開発案件で起こりがちな「顧客が本当に必要だったもの」を使って心理的安全性のないチームでどのようなことが起きるのかを考えてみたいと思います。
「無知」だと思われたくないプロジェクトリーダー
顧客が説明する内容をチームで聞いたとします。顧客の説明で理解できないところがあったにもかかわらず、チーム内に「無知」をさらすことが怖くて聞くことができず、結果的に顧客の要望を理解できず、プロジェクトリーダーの理解がまず、誤っている状態になります。
「否定的」だと思われたくないアナリスト
プロジェクトリーダーの理解が明らかにブランコとして機能できない形になっていることを理解しているにもかかわらず、アナリストはそれを否定的だと思われたくがないために指摘をしません。その結果あり得ない設計をせざるを得ない状態に追い込まれます。
「無能」だと思われたくないプログラマ
実際に実装をしてみて、設計通りのブランコが実現できない状態になりますが、プログラマはそれを「無能」と思われることが怖くて報告できず、工数だけを消費し、そのまま動作しないものを納品してしまいます。
互いに「邪魔」だと思われたくないプロジェクトリーダー、アナリスト、プログラマ
本当はプロジェクトリーダーとアナリストは互いに要件をもっと詳しく話し合うべきだったし、アナリストとプログラマももっとよく話し合うべきだったが、互いに「邪魔」と思われることを避けてしまったがためにおかしくなっていることを修正できず、正しいものを作ることができない結末を迎えてしまいました。
その結果プロジェクトが失敗する
結果的にブランコとして機能しない何かが納品され、膨大な費用が掛かっただけの失敗プロジェクトになってしまうということになります。
これは極端な例ではありますが、心理的安全性のないチームではこれに似たようなことが起きることは容易に想像ができますね。
リスク2 離職率が上がる
心理的安全性が高いチームのメンバーはGoogleからの離職率が低いという話がGoogleのサイトに記載されていましたが(上記引用参照)、日本の会社でも同様に離職率が下がることを示唆するデータがありました。
これを見ると、心理的安全性が低いチームは離職率が高まるリスクが高いといえると思われます。
まとめ-心理的安全性はサラリーマンのリスク回避にとって必須-
心理的安全性のあるチームは成果が上がるといわれますが、いまいちピンとこない部分もあるので逆に心理的安全性のないチームで起こることを考えてきました。
結論としては
・プロジェクトが失敗する
・離職率が上がる
という少なくとも2つのリスクがあるということがわかりました。
サラリーマンとして勤めていくうえでこれらのリスクが顕在化すると、精神的にも立場的にも困ります。
心理的安全性のあるチームにすることはチームのメンバーの幸せに加えて、自身のためにも非常に重要であるということがわかりました。
心理的安全性についてもっと勉強していきたいと思います。
災害時の家族との連絡取り方まとめ
災害時に家族が安全かを確認する必要があります。
そのようなときにどのようなサービスが利用できるのかを調べてみたいと思います。
【注意】
2021/9/5時点での情報です。注意を払って調べていますが、内容に誤りがある可能性もありますので、最終的にはご自分で調べて最適な方法をご検討ください。
お互いにスマホが利用できる場合の連絡方法
LINEなど普段使用している方法で連絡を取る
【必要なもの】自分のスマホと普段の連絡情報が入ったアプリ
普段LINEを使っている場合はLINEを、それ以外の方法を利用している場合はそれ以外の方法を使用します。
ただし、災害時の状況によってはLINEの使用しているサーバに影響が出て、平時のような処理能力がなくなってしまう可能性もあります。
そのような場合は次の項に挙げるような方法も検討しましょう。
誰かが自分のスマホが利用できない場合の連絡方法(PCや他人のスマホが使える場合)
災害の発生状況によっては手元にスマホがなかったり、充電が切れていたりで、連絡相手や自分が各自のスマホでの連絡ができない場合もあり得ます。
そのような場合は、
・他人のスマホを借りる
・勤務先などのPCを利用する
ことになります。
LINEはPCで新たに使用する場合、2021/9/5現在で
・スマホでの認証を行う
の2ステップが必要になると思われます。
アプリのインストールだけでも職場のPCだと困難な可能性がある上に、スマホが使用できないと利用が不可能と思われます。
LINE以外にどのような方法があるかを考えてみたいと思います。
事前に登録しておくことで連絡が取りあえる方法
Webメール
【必要な情報】
WebメールのログインIDとパスワード、アドレス帳の連絡相手のメールアドレス
※2段階認証用端末が必要な場合あり
Gmailやyahoo! mailなどにブラウザからログインし、メールを送る方法があります。
この場合、あらかじめアドレス帳に相手のアドレスを登録しておくことが必要になります。
注意点としては、ログイン時にSMSによる2段階認証を設定している可能性が高いので、これらが解除できるかを確認してから使用することになります。
セキュリティ的に解除すべきではないので、今は解除すべきではないですが、将来的に解除できなくなる可能性もあるので、災害時にWebメールだけを当てにするのは危険かもしれません。
【必要な情報】FacebookのログインIDとパスワード、連絡相手の事前の友達登録
※2段階認証用端末が必要な場合あり
Facebookは事前に友達になっておけば名前で検索し、メッセージを送ることができます。
また、Facebookは災害時ハブ機能を利用することもできるので、広く自身の無事を知らせるのにも便利に使えます。
こちらも2段階認証の制約が発生する可能性もあるので、注意が必要です。
その他SNS
【必要な情報】SNSのログインIDとパスワード、連絡相手の事前の友達登録
※2段階認証用端末が必要な場合あり
Twitterやmixiなどもお互いに連絡を取り合えるように設定しておけば利用可能です。
これも2段階認証については注意しておきましょう。
Web上に情報を残すことで掲示板的に連絡が取れる方法
Web171
【必要な情報】双方が掲示板にアクセスする時に使用する電話番号
電話番号で双方がアクセスし、安否情報を書き込む掲示板を作成できるサービスです。書き込みがあるとメールで通知する機能などもあるようですが、「電話番号がわかること」が必須になります。
家に固定電話がなく、普段アドレス帳から電話していると電話番号を覚えていないということがまま発生するかと思いますので、このサービスを使わないといけないような非常時に備えてどこかに家族の電話番号を控えておく方がよいかもしれません。
Googleパーソンファインダー
【必要な情報】名前など
最低限、名前とコメントを入れるだけで、自身(あるいは他人)の状況を登録できます。
また電話番号やメールアドレス、住所など付加的な情報もあわせて登録することが可能です。
確認も名前だけから検索することが可能です。
ただし、名前だけで特定できるかという問題もありますので、その他電話番号や合言葉などあらかじめ家族で確認しあっておくのがベターと思われます。
閲覧のみ
J-anpi
【必要な情報】検索のための名前あるいは電話番号
J-anpiは各種安否確認サービスの内容や報道機関などの情報、Googleパーソンファインダーの情報を横断的に検索できるサービスです。
ここに個人が情報を登録することはできませんが、web171やGoogleパーソンファインダーに登録することでJ-anpiで見つけてもらうことができるようになります。
連絡が取れない場合はここを見に行くと便利になっているようです。
ネットが使用できない場合
災害状況によっては携帯の回線が使用できないケースも起こり得ますし、固定のネット回線やそれを使用したWifiにも影響が出る場合があるかもしれません。
そのような場合は固定電話などから災害伝言ダイヤル(171)を使用することになります。
災害伝言ダイヤル(171)
【必要な情報】双方が伝言にアクセスする時に使用する電話番号
災害伝言ダイヤル171は文字通り、電話で171とかけて伝言を残すサービスです。
ただ、これもweb171と同様に電話番号をカギとして登録・再生ができる代物なので、家族間で電話番号がわかる状態にしておく必要があります。
例えば自分の電話番号で登録する、夫の電話番号を利用するなど、認識をそろえておくことが望ましいといえます。
スマホが使える場合は自分や相手の電話番号で登録がないか確認をしてみるなどの使い方になるかと思います。
停電時
停電時、スマホが使えればこれまでの方法が使えますが、スマホも使用できない場合は最終手段として公衆電話があります。
公衆電話から災害伝言ダイヤル(171)を使用する
【必要な情報】双方が伝言にアクセスする時に使用する電話番号と公衆電話の場所
こちらのブログ記事*1によると、硬貨を入れなくても171は使用できたようですが、実際に使用する際は念のため硬貨を持って行って使用したいと思います。
また、公衆電話が必要になるので、場所はあらかじめ把握しておきましょう。
使用方法は固定電話の場合と同じで電話番号が必要になることは注意点です。
まとめ
ここまで様々なケースを想定して、連絡を取る方法を確認してきました。
どの方法を使うにせよ、あらかじめ家族とどう連絡を取るのかは非常に重要になるので、平時に話し合っておくようにしましょう。
災害時に帰宅困難になったらどうする?無理な帰宅をしないように備えよう
会社で働いているときに地震などの災害が発生し、公共交通機関が止まってしまった場合帰宅することができなくなります。
首都直下地震の際は首都圏で517万人が帰宅困難者になる推計とのことです。*1
今回は帰宅困難になった際にどのようにすべきかについて調べていきます。
結論は以下です。
・行政は帰宅を非推奨
・職場や避難施設の備蓄が十分ある
・電車は致命的な損傷を受けていない限りは翌日には動きそう
・想定以上に帰宅に時間がかかるリスクがある
という前提から拙速な帰宅判断は避けるべきだと思います。
しかしながら
・家に一緒にいるべき家族やペットがいる
・確認しなければならないものが家にある
など帰宅が避けられないケースもあるので、平時からどのようなケースで帰宅が避けられないか、帰宅しなくてもよくなる方法がないかを考えておく必要がありそうです。
帰宅困難時の状況
【行政の帰宅困難時の見解】国や都道府県はすぐの帰宅は非推奨
・町の状況が危険
・緊急車両の動きを妨げる
・人が密集し集団転倒などの2次災害が発生する恐れがある
という理由で、むやみに行動を開始することはしないようにと言っています。
むやみに行動をしてしまうとけがをしてしまうリスクが高くなりますし、緊急車両を妨げてしまわないことは特に災害の初期では非常に重要と思われるので、理由がない限りは災害発生直後にむやみに動かない方がよいように思われます。
【職場の環境】職場には3日分の備蓄が備えられている
職場に滞在できる状況なのかということが次に問題になります。
備蓄については、例えば東京都では職場に対し、3日分の備蓄を備えることを求める条例で制定しているようです。(*1)
この3日というのは人命救助のデッドラインといわれている日数で少なくともこの日数は人命救助が最優先のため、その間は帰宅困難者が妨げにならないようにとの意図のようです。
自身の職場で備蓄が備えられているのであれば、その期間分は滞在可能ということになります。
【その他外出先の環境】一時滞在施設にも備蓄が備えられている
職場以外の外出先で被災することもあり得ます。
その場合には一時滞在施設が準備されているようです。例えば東京都では約45万人が72時間滞在可能な、一時滞在施設が確保されているとのことです。*3
このような施設でも72時間は滞在可能と考えられます。
【電車の状況】過去の地震は概ね翌朝ごろに復旧している
では帰宅困難になる理由になっている電車の運休は災害後どのくらい続くのでしょうか?
過去の事例を確認してみます。
東日本大震災の首都圏の鉄道は早いところでは当日深夜、遅いところでは翌々朝には復旧
2011年の東日本大震災の際の首都圏の電車の復旧状況はWikipediaにまとめられていました。*4
この内容を確認すると早い路線で西武線などが災害発生後8時間後の夜22時ごろから復旧し、大半は翌朝には復旧。
遅いところではJR横須賀線が津波の影響もあり翌々日の朝に復旧しているという状況のようです。
大阪北地震では翌朝には復旧していた
2018年の大阪北地震では、朝日新聞の記事*5によると発生翌日の朝には復旧していたようです。
もちろん、線路に支障が発生するなどすぐに復旧できない場合もあると予想されますが、一部の路線が復旧するだけでも家の近くまで行くことができるようになる、徒歩距離が短くなるなど状況の改善が見込めます。
職場で3日の備蓄を備えていますが、3日たっても身動きが取れない状況というのはあり得なくはないものの、可能性は低そうと期待したいところです。
【道路の状況】家までは普通の徒歩時間よりもかかる可能性考慮すべき
そもそも帰宅困難といわれている距離は?
帰宅困難といわれている距離はどのくらいになるのでしょうか?
・帰宅距離10キロ以内は全員「帰宅可能」
・10キロを超えると「帰宅困難者」が現れ、20キロまで1キロごとに10%ずつ増加
・20キロ以上は全員「帰宅困難」
という定義になっているようです。
なので、20kmは帰宅困難と定義されています。
Googlemapの徒歩時間は約時速5kmで計算されている
帰宅経路を調べる際はGoogle mapを使うのが便利です。この際所要時間も表示されますが、これは約時速5kmで進んだ場合の時間が表示されているようです。
このことを考えると20kmの距離は歩き続けたとすると4時間でたどり着けることになります。
4時間であれば18時から歩き始めると22時に帰宅できるので、帰宅困難というほどではないように思われます。
道路の混雑により通常の速度で歩けない
しかし実際に東日本大震災の体験を見ているとそう簡単にはいかないようです。
時事ドットコムの記事*7によると東日本大震災の際は人混みがすごく、時速3km程度でしか進めなかったと書いてありました。
20kmを時速3キロで進んだ場合、6.5-7時間かかることになります。18時から歩き始めると、日付が変わってしまいます。実際には休憩もすることを考えると確かに帰宅困難といえそうです。
このような状況ではやはり無理に帰宅することはリスクがあると思われます。
帰宅困難時に帰宅判断をどのように行うか?
・行政は帰宅を非推奨
・職場や避難施設の備蓄が十分ある
・電車は致命的な損傷を受けていない限りは翌日には動きそう
・想定以上に帰宅に時間がかかるリスクがある
という前提で、家に帰らないといけないかを検討することになります。
一緒にいるべき家族やペットがいるか
サポートが必要な子どもや年配者がいる場合やペットを飼っている場合、代わりに対応できる人がいない場合は自分が帰宅しないといけないケースがあり得ます。
どのようなケースで帰宅を避けられないかを事前にパターン分けして考えておくことが重要です。
ただし、無理な帰宅は危険を伴いますし、大雨で帰れないなど災害の種類や状況によっては帰れないケースもありうるので、帰宅しなくても3日間は何とかなるような仕組みづくりが最重要になります。
確認しなければならないものが家にあるか
大規模の火災などが発生している場合に救出しないといけない家財があったり、水槽が置いてあって放置すると階下への漏水が発生する恐れがあるなど、家に帰って対応しないといけないものがある場合もあります。
このような場合も事前にどのようなケースで対応しないといけないのか確かめる必要があります。
例えば通帳は消失しても何とかなるケースがあるようであったり、*8水槽の水漏れは最悪保険でカバーすることを検討するなど、帰宅しなくて済むような仕組みづくりをあらかじめしておくことが最も重要です。
いずれにしても、事前にどのような場合に帰宅が避けられないかを家族でシュミレーションしておくことが重要となります。
まとめ
帰宅困難になった際にどのようにすべきかについて考えてきました。
【結論】
・行政は帰宅を非推奨
・職場や避難施設の備蓄が十分ある
・電車は致命的な損傷を受けていない限りは翌日には動きそう
・想定以上に帰宅に時間がかかるリスクがある
という前提から拙速な帰宅判断は避けるべきだと思います。
ただし、
・家に一緒にいるべき家族やペットがいる
・確認しなければならないものが家にある
など帰宅が避けられないケースもあるので、平時からどのようなケースで帰宅が避けられないか、帰宅しなくてもよくなる方法がないかを考えておく必要がありそうです。
実際に起きた時に冷静な判断ができるように日ごろから心がけておきたいと思います。
*1:東京都帰宅困難者対策ハンドブックhttps://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/001/369/202008.pdf
*2:震災時の帰宅行動http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/pdf/101110.pdf
*4:
*5:
甘かった運転再開見込み、JR西社長謝罪 大阪北部地震:朝日新聞デジタル
*6:帰宅困難者等に係る対策の参考資料http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/senmon/shutohinan/pdf/sanko02.pdf
*7:
〔帰宅難民・体験リポート〕地震後、徒歩で自宅へ:時事ドットコム
*8: